XXX年後の世界

※この内容はフィクションです。実際の団体及び人物には何の関係もありません。

※稚拙かつ厨二成分が多大に盛り込まれていますので、苦手な方は読まないことをお勧めします。

 ※この記事はforce.com Advent Calendarに参加していますが、force.comには一切触れていません(書いた後に気付いた……)。ご了承ください。

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 そこに一つの都市があった。天を貫くほどの高層ビルや数多のテーマパークは絢爛に輝き、初詣の参拝客さながらに人々がごった返している様は、東京やニューヨークなどといった世界の大都市と比較しても遜色はない。往来を行く人々の人種は様々で、まるで坩堝(るつぼ)のように一貫性が無かった。巨大な都市は遥か地平の彼方まで続き、白夜のように地平線を明るく照らしている。

 その光景を遙か上空から見下ろす一人の男がいた。ネクタイも締めずにスーツをだらしなく着崩し、無造作に伸ばした長髪は申し訳程度に後ろで縛られている。体躯はすらっとした長身で、格好から見ようによってはホストのようにも見える。

 背後で軽快な電子音が鳴る。男は振り返らずに声をかけた。

「指定時間ジャスト。相変わらずきっちりしてんな、桐島」

「響さん、お久しぶりです。あなたがIACTOInternational Anti-CyberTerrorism Organizationを抜けて一年ぶりですね」

 響の背後に現れたのは若い女性だった。服装はダークパープルのジャケットにタイトスカート。アップに纏めたブロンドは眩しく、すっきりとした端正な顔立ちも合わせて、人通りの中を歩けばよく人の目に止まるだろう。ある意味、響とは対照的とも言える。

「ここに来るのは誰にも知られてないだろうな?」

「はい」

「上等」

 にっと口端を上げ、満足そうに響は頷いた。

 桐島はゆっくり歩き、響の横に立つ。

「正直驚きました。IACTOから消えて一年。誰にも消息を掴ませなかったあなたが突然、ただの一部下に過ぎなかった私に連絡を取ってきたんですから」

「もっと自信を持て。俺が知る限り、IACTOの中じゃ一等に優秀だったよ」

 響が褒めても、逆に桐島は口を固く結んで、複雑な表情を浮かべていた。響の言った事をお世辞だと思い恐縮しているのだろう。響はばつが悪くなったように自分の頬を掻く。

 桐島は気分を切り替えるように大きく息を吐き、きっと響を見つめる。

「……本題に入りましょう。なぜ私をここに呼んだんです?」

「足元に広がっているこいつについて話したくてな」

「ここは……salesforceですね。相変わらず、なんて広大」

 眼下に地平の彼方まで広がっている巨大な都市。これはsalesforce全体のシステムをVRVirtual Reality)システムで視覚化させた姿だった。

 今から5年前。鳴り物入りに公開されたVRシステムの実用化を基に、salesforceは大きな改革を先だって行った。salesforceVRシステムへの対応と個人向けのライセンス販売開始である。

 salesforceがあらかじめ用意したシステムを利用して個人でも簡単に様々な商売を開始でき、さらにVRシステムによるサイバースペース内では、まるで現実世界のようなリアリティで店を構えたり、直に商品を触ったり、客とコミュニケーションを取る事が可能だった。

 目新しさから次々にユーザを獲得し、さらに世界中の公的機関や大手企業の参入。アミューズメントパークやカジノなどの娯楽施設も次々に出来たことで、利用者数とシステムの規模は急速に膨れ上がっていった。結果、わずか5年で世界最大の仮想商業都市とも言うべき物が出来上がった。

「ここまで巨大だと都市と言うよりも多国籍国家と言った方がしっくりきますね。……まさか?」

 桐島の問いに、響は小さく頷いて答える。

「一年ほど前からここに妙なアタックを仕掛けている奴がいるらしくてな。やり方はお粗末でtrustにも載らない些細な事だが、一向に犯人が割れないのがどうにも気にかかる。まるで石壁を叩いて、脆い所を探っているような」

「だったらIACTOに……!」

 響は首を横に振る。

「結局はただの俺の勘だ。大体この程度じゃIACTOは動かんし、他の事でもう手一杯だろう。だから俺はIACTOを抜けて独自に調査していた。しかし、俺一人ではちょっと限界が見えてきてな」

「それで、私を?」

 響は桐島の方へ向き直り、じっと正面を見据えた。視線は真摯な熱を帯び、気圧されるように桐島は半歩後ろへ下がる。

「さっき言っただろう? お前はIACTOの中でも特に優秀だと。今回の件は結局ただの杞憂に終わるかもしれん。だがもしsalesforce全体がクラックされて乗っ取られる事態にでもなれば、世界はとんでもない大混乱に陥る事になる。それを防ぐために、まずはIACTOが大手を振って動けるような確証が欲しい。桐島、手伝ってくれないか?」

 そう言って、響は右手を桐島の前に差し出した。しかし桐島はその手を取ろうとしない。

「……終わったらIACTOに帰ってきてくれますか?」

「む……。それは向こうが許してくれんだろう? ほとんど無断で抜けたようなものだしな……」

「私が何とかします! どんな手を使っても、響さんをIACTOに戻してみせます!」

 今度は逆に響が桐島に詰め寄られ、響は数歩後ろに下がる。しばらく響は目を泳がせていたが、やがて覚悟を決めたように後頭部を思い切り掻き毟り、大きく息を吐いた。

「全く、なんでいつの間にかこっちがお願いされる立場になってるんだか……。分かった分かった! 全部終わったら何でもお前の言う事を聞いてやるよ」

「ありがとうございます!」

 桐島は目を輝かせ、両手で差し出されていた響の右手を勢い良く掴んだ。一方の響は何ともばつが悪そうに桐島を直視できず、あさっての方向を向いている。

「だから、頼んでるのはこっちだってんだろ……。はあ。まあ何はともあれ、改めて頼むぞ。桐島」

「一年ぶりのコンビ再結成ですね。頑張りましょう!」

 二人は改めて眼下に広がる黄金都市を見下ろす。現実には存在しない。しかし確かに世界に存在するこの場所を守るため、二人は決意を新たにするのだった。

 

 

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 駄文をここまで読んでいただいた方、ありがとうございました。またつまらぬ黒歴史を書いてしまった……。恥ずかしさで悶え死にそうです。前回といい、ほんとにこんなものばっかですみません……。

 本当は上記を掌編か短編ぐらいで完結させようかと思っていたのですがとても収まり切らないので、時間も無く起承転結の起だけ書いてみました。昔取った杵柄で久しぶりにラノベっぽく書いてみたのですが、言葉が全然出てこずに苦労しました。語彙が相当落ちてますね。

 舞台は数百年後、ネットやsalesforceがどんな事になっているかを妄想して書いたものです。言ってしまえば攻○機動隊とサマー○ォーズを足して100ぐらいで割った感じですかねw 個人的にsalesforceがこんな風になっていたらいいなあという思いで書いてみました。今は一般の人達には馴染みが薄い印象があるので、普通の人達にも使われたら、最終的にこんな事になるんじゃないかなあ、と。

 設定や伏線で煽るだけ煽ってますが続きは書きませんw 自分の浅はかな知識ではSF物を書いても薄っぺらな内容になるのは間違い無いですし……。

 これにてAdventCalendarの自分の担当は終了。こっちのブログをもっと弄りたいのですが時間が取れず。身動きが取れるようになるまでまだ時間がかかりそうです……。